2026 年 38 巻 1 号 p. 33-45
重複受精は被子植物が獲得した革新的な有性生殖のしくみである。被子植物の生存戦略および繁栄に大きく貢献し、食糧生産を通じて人類の発展にも不可欠な貢献をしている。高校生物の教科書にも記載され、研究者に限らず広く一般に知られる、生物学の基本的仕組みの1つと言える。一方で、19世紀末の1898年に初めて報告され、すぐに多くの被子植物で確認された現象ではあるものの、分子的な仕組みの解明には長い時間を要している。とはいえ重複受精に関する細胞動態や分子基盤の研究は着実に進んでおり、本質的な仕組みの解明も近いのではと期待される。本総説では、重複受精についてよく尋ねられる疑問に答えながら、重複受精の仕組みがどこまで理解され、また研究の最前線で何の理解が求められているのか概説する。