PLANT MORPHOLOGY
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褐藻植物の生活環を通しての中心子(セントリオール)の連続性
本村 泰三
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1999 年 11 巻 1 号 p. 52-58

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抄録

要旨:褐藻植物細胞には動物細胞と同様に1組の中心子(セントリオール)とその周辺物質からなる中心体(セントロゾーム)が存在している。中心体は中間期細胞では微小管形成中心(MTOC)として微小管細胞骨格の中核をなし、核分裂期では複製した後に両極に移動し、紡錘体形成に関与している。我々は褐藻植物の生活環においてキーとなる有性生殖(受精)と無性生殖(遊走子形成過程)の過程における中心子の挙動を形態学的に追跡してきた。褐藻植物の有性生殖には、同形・異形配偶子接合、卵生殖が観察できるが、すべてのパターンで接合子の中心子は雄性配偶子由来であり、雌性配偶子由来の中心子は受精後選択的に消失することを明らかにした。遊走子形成過程においては、減数分裂後に核と葉緑体が協調的に分裂しており、その過程で核と葉緑体は中心子(中心体)を介して一つのユニットをとることを明らかにした。

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© 日本植物形態学会
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