実践政策学
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Print ISSN : 2189-2946
災害時における外国人支援の課題と展望
田村 太郎
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2024 年 10 巻 2 号 p. 199-210

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抄録
本研究では、言語や文化の異なる地で被災した外国人への支援の在り方について、日本での過去の災害における対応の歴史を俯瞰ながら政策や対応の傾向・変遷とその背景を整理し、外国人が持つ脆弱性の要因を分析する。1923年の関東大震災、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災での外国人の被災状況やその後の日本社会の対応から、震災以前における外国人の社会的位置づけの不明確さが、震災後の脆弱性に結びついていることを論じた。災害時の外国人支援においては言語面での課題に注目が集まりがちであるが、支援の対象から漏れる外国人が生じることや、外国人に対する誤解や偏見により地域社会から孤立することへの不安に課題があり、国や自治体における今後の取り組みでは多言語による情報提供に留まらず、外国人コミュニティとの連携を深めながら、住民間の相互理解に基づいた地域づくりを進めていくことの重要性を指摘した。
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© 2024 実践政策学エディトリアルボード
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