実践政策学
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非線形時系列解析を用いたGDPと税収の因果推定
岸 茂樹
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 11 巻 1 号 p. 25-30

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抄録
国内総生産(名目および実質のGDP)と税収(一般会計税収)との関係についてはさまざまな意見が見られる。たとえばGDPが増加することによって税収が増加するという意見がある一方、GDPと税収にはそもそも明確な関係性はないという意見もある。そこで本研究では名目および実質のGDPと税収の関係について非線形時系列解析を用いて調べた。非線形時系列解析はGDPと税収のように非線形な関係が想定される時系列データの因果を推定することができる。代表的な因果推定法であるConvergent Cross Mapping(CCM)を用いて名目GDPと税収、実質GDPと税収との関係を調べたところ、名目GDPから税収、税収から名目GDP、実質GDPから税収、税収から実質GDPのいずれの方向にも因果がみられた。そこでそれぞれの影響の強さをS-mapを用いて評価したところ、名目GDPから税収には負の効果がある一方、税収から名目GDPへは正の効果があることがわかった。反対に、実質GDPから税収には正の効果がある一方、税収から実質GDPへは負の効果がみられた。以上の結果は以下のように解釈できる。すなわち名目GDPと税収は同じ方向に変動するが税収のほうが変動が大きくなる。一方、実質GDPは数年のタイムラグをもって税収を増やす効果があるが、税収は約2年後の実質GDPを減らす可能性がある。つまり長期的に安定して税収を増やすには実質GDPを増やすべきであって、税収を先に増やすと実質GDPの低下を招くことが懸念される。
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