抄録
大阪市都心部では都心回帰によって人口が増加傾向にあり、それに伴って小学校の児童数が急速に増加し、教育環境に影響を及ぼしている。本研究では、都心回帰による児童数変化の実態を把握し、その要因を分析するとともに、都心回帰が教育環境に及ぼす影響の実態を明らかにすることを目的とする。児童数変化要因の分析では、既往研究を参考に、小学校区ごとの超高層集合住宅の立地、児童の学力、犯罪発生状況などを考慮した。超高層集合住宅の立地状況を考慮するため、国勢調査の小地域人口から算出した児童年齢人口を用いて分析を行った。本研究により得られた主な成果は以下の通りである。①超高層集合住宅の立地が児童年齢人口の増加に関係している実態を確認した。②児童数の増加に及ぼす影響は、超高層集合住宅の供給戸数が多いこと、児童の学力が高いこと、犯罪発生密度が低いことの順に大きいことを確認した。③増改築が行われた全ての小学校が、児童1人あたり運動場面積の基準を満たしていない状況にあることを確認した。④以上を踏まえ、短期的には児童数増加に対処する需要追随型の対策が必要となるが、長期的には住宅立地の需要を調整する需要管理型の対策が求められることを示した。