抄録
本研究では、自家用車中心の交通特性を持つ地方都市において、駅前広場に着目し、現在の交通特性や住民の意見と整合する形で駅周辺のまちづくりを進める方法を考察することを目的に、群馬県みどり市の事例研究を行った。本事例では、人口密度が相対的に高い地区が駅から1 km以上離れており、駅へのアクセス交通手段は自家用車や自転車が主体である。アンケートの分析からは、地域住民・駅利用者ともに、駅前広場における自家用車の利便性や安全性に対するニーズが強いことを示した。ワークショップでは、意見の中から、住民のニーズや市としての実現可能性を踏まえ、駅前広場の整備を優先して行う方向で議論が進められ、駅前広場等に駐車場を設けて自家用車でのアクセスに対応する計画がまとめられた。駅前広場への自家用車の駐車場の設置は、短期的には住民のニーズを踏まえた計画であると言える一方、中長期的な課題として、駅のにぎわい機能の整備等に向け、立地適正化計画等の都市計画の活用も必要と考えられる。本事例から、駅周辺にDIDが無い等、現在は交通結節点や地域拠点としての役割が十分でない中小地方都市の駅の今後の方向性の示唆として、駅の地域拠点としての再整備に際し、短期的な対応としてP&R等が可能な駅前広場の整備を通じて駅利用者を広範囲から集めること、中長期的な課題として駅周辺の歩行・自転車利用環境の整備、駅に結節する公共交通網の強化、駅前広場の計画指針へ関係者の対話を追加すること、を挙げた。