実践政策学
Online ISSN : 2189-1125
Print ISSN : 2189-2946
ドイツ・アンダーナッハ市における「エディブル・シティ」の実態解明と日本への示唆
自治体主導の食と農を軸にした公共緑地の新たな可能性と課題
太田 尚孝新保 奈穂美
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2025 年 11 巻 2 号 p. 185-198

詳細
抄録
近年、世界各地で食べられる景観の「エディブル・ランドスケープ」に注目が高まっている。本稿では、ドイツのアンダーナッハ市を事例に、これを自治体主導で都市に拡大した「エディブル・シティ」の仕組みや、成果、課題を明らかにすることを目的とする。2024年のプロジェクト担当者へのインタビュー調査や現地調査、体系的な文献調査から主に以下の4点が明らかになった。①自治体主導の「トップダウン」の内実は市長を含めた分野横断型のチームに基づいていた。②同市の公共緑地における誰でも収穫可能な試みは国内外から大きな注目を集めた。③アンダーナッハ市では都市全体でエディブル・シティの試みが確認できた。④現在は量的拡大を目指すのではなく質的拡充を推進していた。このアンダーナッハ市のエディブル・シティは世界的にユニークなプロジェクトといえるが、段階的に展開されており、理念としてパーマカルチャーの存在も指摘できる。日本への示唆では、アンダーナッハ市の事例は自治体主導の公共緑地の新たな利用方法の一手段として理解できる。近未来に日本でも実現可能性も高いと言えるが、リスクを冷静に見極め、まずはスモール・プロジェクトとして行うことが重要であろう。また、実施主体側の専門性と学際性が実現の基盤になるといえる。
著者関連情報
© 2025 実践政策学エディトリアルボード
前の記事 次の記事
feedback
Top