抄録
本研究は、東北の復興創生に挑む経営者の実践を通じて、地域共創を発展させる、復興創生・地域共創といった公共性の高い理念を掲げる理念駆動型リーダーシップと共同リーダーシップがいかに連動し、地域活性化に寄与するかを実証的に検討する。近年、地域を牽引する経営者の役割は注目されているが、その特性や共創を形成するメカニズムの研究は限られている。本研究は、東日本大震災後に宮城県仙台市秋保で創業し、復興と地域活性化に取り組んできた2人の経営者を対象に、約5年間の産学連携、参与観察、半構造化インタビューによる質的分析を行った。古くから温泉観光地として知られる秋保で、彼らは「テロワージュ」という理念を軸に新産業を創出し、強みを補完し合う共同リーダーシップを発揮して地域内外のステークホルダーとの共感醸成を推進した。その過程で、共同リーダーシップは共有リーダーシップへと展開し、地域共創とネットワークの拡大が進んでいることが示唆された。これらの実践を通じて構築された「秋保モデル」は、理念の可視化と共感醸成を起点に、リーダーシップの進化と地域共創の発展が相互に作用する仮説的枠組みを提示している。本研究は、復興創生に資するのみならず、地域活性化における理論的含意(リーダーシップ研究の深化)と実践的含意(地域共創モデルの設計指針)を提示する点で意義を持つ。