実践政策学
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黒部市生地地区の清水にみる地域資源と住民の関係の持続性に関する考察
松野 祐太福島 秀哉
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2018 年 4 巻 2 号 p. 179-190

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抄録
地域資源としての水資源を再評価した名水百選や水の郷百選では、水質のみならず地域資源と住民の関係が重視された。選定された水資源はその後地域のまちづくりなどに活用されてきたが、1985年の名水百選選定から30年以上が経過し、少子高齢化の進展や生活の変化による生活利用の減少、観光地化の影響などにより、水資源と住民の関係が変化している可能性が高い。本研究では、名水百選に選定された清水(しょうず)と呼ばれる自噴井が多く存在する黒部市生地地区の共同洗い場のうち観光利用されている8清水を対象に、各清水と住民との関係の変化とその要因について、空間整備、観光地化の影響、地域活動等との関連性に着目し分析・考察した。その結果、対象8清水において生活利用が減少している一方、住民による清水の維持管理が継続しており、維持管理を通して清水と住民の関係が持続していること、および清水の維持管理に参加している住民の数は維持管理形態によって異なる傾向があることを明らかにした。加えて、維持管理の持続性に対して空間整備や観光地化の影響は小さいこと、地域の活動等の影響があることを示唆した。
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© 2018 実践政策学エディトリアルボード
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