抄録
日本の国土は様々な自然災害リスクを有し、継続的な防災投資が必要とされているが、財源不足等の理由から防災インフラの整備は十分には進んでいない。公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金を活用して行うPFIと呼ばれる手法もあるが、防災分野での適用実績は乏しい。その理由は、空港施設や公営賃貸住宅と異なり、防災インフラ整備が生み出す価値を金銭的な収益として民間事業に還元する経路を設けにくいからであろう。そこで本研究では、既往の取り組みを参考に、「ソーシャル・インパクト・ボンド」等の形で日本でも社会福祉分野において導入事例が存在する「PFS」(成果連動型民間委託契約)の仕組みを導入することで、防災インフラがもたらす「減災効果」の一部を、その整備を担う民間事業者に還元できる仕組みを提案した。そのうえで防災インフラ投資にPFSの仕組みを導入することのメリットと、導入に向けた課題について考察した。