抄録
我が国では昨今、公共交通サービスの拡充を求める声が各地で高まっているが、その実現には安定的な収益が生み出されるだけの利用者数の確保が必要である。本研究ではその実現方法の一つとして、地域住民が主体となったMM(モビリティ・マネジメント)活動に注目する。現実にそのような活動を通じてバス利用者数の確保とサービス拡充を実現した京都市内の複数の事例を取り上げ、関係者へのヒアリング内容を実践物語描写の方法論を用いて記述した上で、その意義について考察を行った。その結果、① 「バス路線の拡充は難しい」という住民の諦めや、「拡充しても利用者数の確保は難しい」というバス事業者の諦めが、MMという手法の登場によって「希望」に転換されたこと、②地域住民、行政当局、交通事業者の三者の強力な連帯関係がバス路線の拡充を可能にしたこと、③路線拡充は、「利用者数等目標に達しなければ、路線の拡充が実現しない/縮小されてしまう」という危機感を住民自身が持ち、積極乗車を心がける「自覚的バストリガー方式」とも言い得るプロセスで実現したこと等が明らかとなった。