抄録
これまでの日本の刑事政策を巡る議論は全国の状況を同質的に捉える視点が主流であって、地域間の相違についてほとんど関心が払われてこなかった。しかし、近年、地方分権の傾向が活発であることを踏まえると、刑事政策においても地域性が見られる可能性が考えられる。そこで本研究では、統治(governance)研究を理論的背景に置き、日本の刑事政策における地域間の異質性・同質的を検討することを目的とした。具体的には、再犯防止推進法に基づいて策定された42都道府県の地方再犯防止計画を対象とし、テキストマイングによって①各都道府県の再犯防止推進計画でどのような事柄が重視されているのか、②重視する点において各都道府県間に地域性があるのかを検討した。その結果、①「出所者の特性に配慮した政策を行うこと」を重視する「継続的支援コード」および「機関間の連携を推進すること」を重視する「連携コード」の出現頻度が相対的に高いこと、②京都・兵庫を除く都道府県は概ね等質であり、大きな地域性は見られないことなどが示された。この結果について、国と地方における資源の非対称性の観点から考察した。