実践政策学
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水道組合によって管理運営される小規模水道の現状と管理運営の継続意向の把握
熊本県水俣市を事例に
境 翔悟一ノ瀬 友博
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2022 年 8 巻 2 号 p. 195-202

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抄録
我が国の中山間地域には、地域住民によって組織された水道組合によって管理運営が行われている小規模水道が存在しており、本研究ではその小規模水道の現状と、管理運営の継続に関する意向の把握を行なった。市内全水道組合に対するアンケート調査をもとに、小規模水道の類型化を試みた結果、水道の維持管理の負担が大きいが管理運営の継続意向が強い水道組合の類型や、維持管理負担が小さいが管理運営意思にばらつきが見られる類型が見られ、必ずしも維持管理負担の大きい水道組合で管理運営の継続意向が弱い結果にならないことが示された。特に、管理運営の継続意向が強い水道組合では、地域愛着が他の類型と比較して高く、住民による小規模水道の運営の持続性に寄与している可能性が示唆された。小規模水道を持続可能にするための施策として、水道の維持管理が集落の生活や価値観に結びつくことで生まれる、多面的な価値の認識の普及を進めることで、地域愛着の醸成を促進するような自治体の支援が望まれる。
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© 2022 実践政策学エディトリアルボード
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