実践政策学
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新型コロナウイルス感染症における報道フレーミング
劉 放竹村 和久
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2023 年 9 巻 1 号 p. 5-13

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抄録
本研究(1)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況の推移を報道する際、メディアが一定方向の偏りをもって情報を提供していたかについて、感染状況の推移についての表現(フレーミング)の観点から実証的に検討したものである。本研究では、2020年1月15日から2021年10月4日までの、新型コロナウイルス感染症に関する記事の見出しを5つのメディアから収集し、分析した。その結果、メディアは新型コロナウイルス感染症の感染状況について、増加局面と減少局面に一貫していない集計方法や比較基準を使用し、表現が増加局面の方向に偏っていることが示された。感染者数に関する報道は、重症者数と死者数に関する報道よりもフレーム操作の対象となりやすいことが示された。これらのことから、メディアの報道が、リスク情報について特定のフレーミング操作を行った報道をしている可能性が高かった。意思決定のフレーミング効果のこれまでの研究から、このような報道の傾向は、一般市民に特定の方向に意思決定を誘導していたことが示唆された。
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© 2023 実践政策学エディトリアルボード
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