2022 年 13 巻 1 号 p. 16-21
抗NXP2抗体は,抗TIF1γ抗体および抗MDA5抗体とともに,若年性特発性炎症性筋症(JIIM)で検出される主要な筋炎特異的自己抗体(MSA)であり,人種に関係なくJIIMの15〜30%で陽性となる.筋病理では,他のMSAと比較して強い血管炎を認める.また血管炎を反映し,臨床症状として,皮膚筋炎に典型的な皮疹以外に,浮腫や皮膚潰瘍を認めることが特徴であり,筋力低下などの筋症状も他の2つのMSA陽性群より強い.近年,中国から消化管穿孔による死亡例が報告され,予後不良因子として,浮腫,皮膚潰瘍,嚥下障害/発声障害,抗核抗体陽性などが推測されている.また,消化管穿孔は治療後しばらくしてから認めることが多いため,副腎皮質ステロイドなど治療薬の影響も考えられている.難治例に対する確立した治療法はなく,新たな治療プロトコールの開発が望まれる.