小児リウマチ
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症例報告
IgA血管炎再燃時に急性虫垂炎を合併した小児例
敦賀 和志藤岡 彩夏遅野井 香純橋本 礼佳佐藤 啓佐藤 工杉本 和彦
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2022 年 13 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

IgA血管炎(IgA vasculitis:IgAV)は小児では比較的多い血管炎症候群であり,経過中に再燃することもまれではない.IgAVの再燃時に急性虫垂炎を合併し,保存的治療で改善した症例を経験した.症例は6歳男児.下腿の紫斑と腹痛が出現し,症状増悪のため第7病日に当院を受診しIgAVと診断され入院した.prednisolone(PSL) 1 mg/kg/dayの投与により症状は速やかに改善し第15病日に退院した.PSLは漸減中止し腹痛や紫斑の再燃もなく経過していたが,退院から11日目に発熱と腹痛のために救急外来を受診した.紫斑はなく上腹部と右下腹部に疼痛があり,超音波検査で虫垂の腫大を確認し急性虫垂炎と診断した.cefmetazole(CMZ)による保存的治療で虫垂炎の症状は改善したが,両下腿に紫斑が出現し上腹部痛のみ残存した.IgAVの再燃による症状と判断し,PSLの投与により症状は速やかに改善した.IgAVに急性虫垂炎を合併することはまれであるが,臨床所見に加え超音波検査やCT検査などの画像検査も行い,適切な治療法を決定する必要がある.

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© 2022 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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