小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
症例報告
橋本病を合併した混合性結合組織病の1例:hypothyroid myopathyの鑑別の重要性
田中 里奈清水 正樹真保 麻実山崎 晋高澤 啓鹿島田 健一森尾 友宏森 雅亮
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2022 年 13 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

高クレアチンキナーゼ(CK)血症の原因は多岐にわたり,リウマチ性疾患のほか甲状腺機能低下症もその原因となる.今回われわれは,混合性結合組織病(MCTD)と橋本病(HD)を合併し,それぞれの増悪に伴い高CK血症をきたした症例を経験したため,報告する.7歳時にレイノー現象が出現し,9歳時に発熱,腹痛,炎症性斜頸,甲状腺機能低下症を認め,HDを合併したMCTDと診断された.ステロイドパルス療法で寛解に至り,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)を併用された.レボチロキシン(LT)も開始されたが,甲状腺機能が正常化した4か月後に中止した.10歳時に腹痛,嘔吐,高CK血症を呈しMCTDの増悪が疑われたが,甲状腺機能低下も認めLTを再開し改善した.12歳時に再び頸部痛 · 斜頸,高CK血症をきたしたが,甲状腺機能は正常でありMCTDの増悪と考えPSLを増量し改善した.MCTDではHDの合併率が高く,CK上昇を呈した場合にはMCTDの増悪のほか,hypothyroid myopathyにも注意する必要がある.

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© 2022 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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