2022 年 13 巻 1 号 p. 43-47
高クレアチンキナーゼ(CK)血症の原因は多岐にわたり,リウマチ性疾患のほか甲状腺機能低下症もその原因となる.今回われわれは,混合性結合組織病(MCTD)と橋本病(HD)を合併し,それぞれの増悪に伴い高CK血症をきたした症例を経験したため,報告する.7歳時にレイノー現象が出現し,9歳時に発熱,腹痛,炎症性斜頸,甲状腺機能低下症を認め,HDを合併したMCTDと診断された.ステロイドパルス療法で寛解に至り,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)を併用された.レボチロキシン(LT)も開始されたが,甲状腺機能が正常化した4か月後に中止した.10歳時に腹痛,嘔吐,高CK血症を呈しMCTDの増悪が疑われたが,甲状腺機能低下も認めLTを再開し改善した.12歳時に再び頸部痛 · 斜頸,高CK血症をきたしたが,甲状腺機能は正常でありMCTDの増悪と考えPSLを増量し改善した.MCTDではHDの合併率が高く,CK上昇を呈した場合にはMCTDの増悪のほか,hypothyroid myopathyにも注意する必要がある.