小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
症例報告
全身性エリテマトーデスの治療中に発症した血栓性微小血管症の女児例
河西 彩菜安岡 竜平幸田 昌樹加藤 由希子内田 博之北形 綾一夏目 統
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2022 年 13 巻 1 号 p. 48-53

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抄録

血栓性微小血管症(TMA)は全身性エリテマトーデス(SLE)の重篤な合併症であり,SLEの疾患活動性と並行して発症することが報告されている.今回われわれは,SLEの初発時に治療を開始してSLEDAI(SLE disease activity index)や血清学的マーカーが改善傾向にもかかわらず,TMAを発症した女児例を経験したため報告する.症例は12歳女児で,重症ループス腎炎を伴うSLEを発症した.ステロイドパルス療法1コース目を開始後,血小板数は増加し,抗ds-DNA抗体価は低下した.しかし,ステロイドパルス療法を2コース終了後(入院12日目)に末梢血に破砕赤血球が出現し,ヘモグロビンと血小板数の減少を伴ったことからTMAを発症したと考えられた.早期に血漿交換療法を導入し,経静脈的シクロフォスファミド療法,ミコフェノール酸モフェチルの内服を追加し,入院33日目に破砕赤血球は消失した.TMAはSLEの治療経過中のいつでも発症しうるため,血小板減少や貧血の進行と破砕赤血球の出現を認めた場合,医療者はTMAの合併を考慮すべきである.

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© 2022 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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