小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
トシリズマブ投与中のインフルエンザワクチン投与
篠木 敏彦原 良紀宮前 多佳子今川 智之森 雅亮横田 俊平
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2009 年 2 巻 1 号 p. 25-28

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抄録
若年性特発性関節炎(JIA)患者では感染により病勢の悪化が認められる.特にインフルエンザ ウイルスは高い感染力と毒性があり,二次性細菌感染も多く注意が必要で,JIA患者においてはイン フルエンザワクチンの接種が推奨されている.一方,トシリズマブは抗IL-6レセプター抗体製剤で あり,難治性や頻回再発性のJIA患者に対し高い効果を上げている. IL-6はB細胞の抗体産生細胞へ の分化を促進するサイトカインであり,トシリズマブはワクチン接種による抗体上昇に影響をおよ ぼす可能性が危惧されていた.我々が行った研究では,トシリズマブ投与中のJIA患者においても健 常人と同等の抗体上昇が得られることが示唆された.また,ワクチンの投与による副反応の増加や 原疾患の悪化も認められなかった.ワクチン接種における利益と不利益を考えた場合,トシリズマ ブを投与中のJIA患者においても,インフルエンザワクチンは積極的に接種した方がよいと思われた.
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© 2009 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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