抄録
膠原病は,疾患,病型によって予後が異なるため,ある疾患が他の疾患に移行する場合にも適
切に診断を下す必要がある.しかし,移行までの期間や発現する自己抗体の評価の仕方などには検
討課題が残されている.混合性結合組織病(MCTD)では,発症時に診断がなされた後,数カ月から数
年の経過で全身性エリテマトーデス(SLE)の診断基準を満たす症例がみられる場合がある.
MCTDは抗U1-RNP抗体,SLEは抗Sm抗体などを疾患標識抗体としている.抗U1-RNP抗体と抗Sm
抗体は,エピトープが異なるが,対応抗原がともにU1-small nuclear ribonucleoprotein(U1-snRNP)で
ある.これらの自己抗体と病態形成との関連は明らかではないが,MCTDからSLEへの移行例では,
抗Sm抗体の陽転がみられることから,何らかの素因を背景に,感染などを誘因として新たな抗体が
産生されることが推察される.疾患移行に関して,素因,誘因,病態解明が待たれる.