2009 年 2 巻 1 号 p. 5-8
原発性免疫不全症には一見相反する病態と思われる自己免疫疾患の合併がまれではなく観察 され,その背景には免疫制御機構の不全が考えられる.一般の自己免疫疾患には複数の要因が複雑 に関係しており,その病態解明は容易ではないが,多くの原発性免疫不全症では病因分子が同定され ているため,その病態は比較的単純である.したがって原発性免疫不全症に合併した自己免疫病態 に着目し,病因分子の欠陥がどのような機序で自己免疫病態に関連するかという研究は,病態解明が 困難である自己免疫疾患の研究に示唆を与える可能性がある.