抄録
症例は7歳男児.剣道練習中に右足首を捻挫した.免荷療法を施行されたが,両足関節の腫脹と察
痛に進展し,受傷6か月後の造影MRIで滑膜の増殖と軟骨破壊を認め, MMP-3が高値であり,若年
性特発性関節炎(JIA)少関節型と診断された.受傷9か月後からメトトレキサート(MTX)少量パルス
療法を開始したが,松葉杖なしでは歩行が困難となった.関節裂隙の狭小化の進行,MMP-3高値の持
続に加え,RF陰性にもかかわらず抗CCP抗体の異常高値を認めた.受傷1年7か月後よりトシリズ
マブの投与を開始したところ,CRP, ESR, MMP-3が正常化し,関節裂隙の狭小化が著しく改善した.
トシリズマブ以外の治療を中止でき,日常生活の制限はなくなった.
JIAの関節予後の予測因子として抗CCP抗体の値が有用となり得ることが示唆された.また,トシ
リズマブは関節型JIA患者の骨・軟骨破壊を抑制して,罹患関節の構造的寛解をももたらす可能性が
あると考えられた.