フィナンシャル・レビュー
Online ISSN : 2758-4860
Print ISSN : 0912-5892
生涯所得課税の提言
佐藤 主光
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2024 年 157 巻 p. 49-69

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抄録

 本稿は働き方の多様化といった新しい経済・社会環境を踏まえ,抜本的な所得税改革として年間所得課税から生涯所得課税への転換を提言する。経済学は個人の(担税力を裏付ける)厚生水準は生涯所得に拠るとする。こうした経済理論とも整合的である。デジタル技術の発展とともに生涯ベースの所得課税の実効性も高まっている。本稿が提言する生涯所得課税の利点は次のようにまとめられる。(1)生涯ベースの担税力に応じた再分配に資するに加えて,(2)所得の発生パターンが違っていても生涯所得が等しい納税者の間で「水平的公平」が確保される。また,納税者にとっては(3)今期の高収入が災害時等の収入減(あるいは赤字)と平準化され,過去に払った所得税の一部が「還付」されるという意味で保険の役割を果たすことになる。加えて,(4)キャピタルゲインなど今期「発生」した所得の「実現」を先送りして課税を軽減させる誘因も生じない。

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© 2024 本論文著者
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