霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: A-10
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口頭発表
秦嶺山脈のキンシコウに見られた特異な行動
*福田 史夫和田 一雄李 保国
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抄録
キンシコウの野外研究は始まったばかりであり、その生態や社会構造、社会的行動はまだ殆んど解明されていない。演者は今年の3、4月にかけての3週間、秦嶺山脈に生息するキンシコウを観察してきた。この時季は出産季にあたるため、新生児が生まれると間もなく他個体による育児行動が見られた。しかし、一方、出産季であるにも関らず、交尾行動に類似した行動が頻繁に観察された。この行動は、Unit-maleが他のUnit個体に攻撃的行動を行った直後に生じた。「オス:大きく口を開けて犬歯を剥き出し、肩を怒らして、ゆっくりと自分のユニットメスの方に歩く→メス:それを見て逃げる→オス:メスを同じ動作を続けながら追う→メス:止まってオスの方をみる→オス:口を開けながら頭を下げ、メスの腰に手を当てる→メス:うつ伏せになる→オス:口を開けながらメスの腰に両手を回し、メスの背中越しに覆いかぶさる→メス:四足で中腰になり辺りを見回す→オス:口を開けながら激しく腰を動かす(メスの尾は下がったまま)→メス:四足で腰を下げたままで顔を上げて辺りを見回す→オス:口を開けながらメスの首筋に顔を埋める→メス:尾を上げてオスから離れる→オス:口を開けながらメスの尻を見る」の一連の行動からなっている。この行動は20秒くらいで終わり、一見すると交尾行動と類似しているが、いくつかの行動の要素で違いが見られる。交尾では、メスが顔を地面に付けてうつ伏せになりオスを誘い、オスが腰を動かしている時に互いに見合い、交尾後互いにグルーミングし合う。しかし、これらは観察されていない。オスが大きく口を開け犬歯を見せながら肩を怒らし上半身を左右に揺らしながらゆっくり歩くことで、メスはオスから逃げようとする。が、メスは逃げることができず、うつ伏せになってしまう。この行動をすることでオスは自分の興奮状態を鎮火させ、メスは仕方なくオスを宥めていると考えられる。
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© 2004 日本霊長類学会
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