霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: A-20
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口頭発表
ウガンダ・カリンズ森林におけるチンパンジーの高頻度交尾:発情メスの生活リズム
*橋本 千絵古市 剛史
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抄録

これまでの研究から、チンパンジーの交尾パターンには、「高順位オスによる独占的な交尾」、「機会的な交尾」、「コンソートによる交尾」の3つがあるといわれている。ウガンダ・カリンズ森林では、これまで3年にわたって、チンパンジーのメスが高頻度に交尾を行うことが観察されてきた。これまで行った分析によると、オトナオス同士の順位があまり明確でないこと、また、オトナのオスの数が多い(20頭)ということが、このような高頻度交尾の原因になっていると考えられた。本発表では、実際にメスがどのような状況でこのような高頻度交尾を行っているかを明らかにしたい。調査は、2001年から2003年にかけて、ウガンダ共和国カリンズ森林において、Mグループを対象として行った。発情しているメスを終日個体追跡を行った。メスの発情が続いている限りは、連続して追跡を行った。すべての交尾について、その前後のオスとメスとの交渉パターンを記録した。また、5分毎に、対象メスの行動と、周り5m以内にいる個体の行動を記録した。発情メスが見られない日には、非発情メスについて、行動と周りの個体についての記録を行った。発情期間中、メスはあまり採食をせず休息やオスとのグルーミングを行う時間が長かった。発情メスと非発情メスとの行動の違い、1日の中での交尾の頻度や行動の変化、周りにどういう個体がいるか、どういったオスが交尾を行っているのか、という点についても分析を行い、考察する。

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© 2004 日本霊長類学会
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