霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: P-40
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ポスター発表
ベレンティ保護区におけるワオキツネザルのメスの優劣関係
市野 進一郎
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抄録
(目的)昼行性原猿類であるワオキツネザルは、オナガザル類と同様に、母系の複雄複雌群を形成する。その一方、(1) メスがオスよりも優位である、(2) 血縁個体に対してもまれにしか援助しない、などの違いが報告されている。ワオキツネザルの優劣関係はオナガザル類と異なる可能性がある。本研究は、ワオキツネザルのオトナメス間の優劣関係を決定する要因を明らかにすることを目的とした。
(方法)2000年(3ヶ月間)と2001年(10ヵ月間)の2回、マダガスカル南部ベレンティ保護区のワオキツネザルの群れ(4群)で、個体間の敵対的交渉を記録した。群れのメスは1989年から個体識別されており、メスの年齢や血縁関係が明らかになっている。
(結果)オトナメスは、常にオトナオスよりも優位で、多くの場合未成熟個体よりも優位だった。しかし、母親が上位メスである未成熟個体は、オトナメスよりも優位な場合があった。母親は常に娘よりも優位だった。オトナメス間の優劣順位は必ずしも直線的ではなかった。優劣順位が直線的ではない群れは、(1) 大きなサイズの群れ、もしくは(2) 順位を低下させた老齢メスがいる群れ、だった。小さな群れでは、特定の血縁集団のメスが上位を占めた。年齢は、必ずしも優劣順位と相関しなかった。優劣順位の変動は、主に出産期(9月、10月)に、オトナメス数が多い群れの、異なる血縁集団のメス間で起きた。
(考察)血縁個体に対する援助がまれであるにもかかわらず、ワオキツネザルの優劣関係はメス間の血縁関係に影響を受けるようだ。また、優劣関係の変動はオトナメス間の競合が高まることによって起きるようだ。
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© 2004 日本霊長類学会
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