霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: P-41
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ポスター発表
ガボン、ムカラバ国立公園におけるゴリラの人づけの試み
*安藤 智恵子竹ノ下 祐二山極 寿一
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抄録
ガボン、ムカラバ国立公園にはニシローランドゴリラ、チンパンジーが同所的に生息する。とくにゴリラの密度は他の調査地と比較して極めて高い。我々は1999年よりムカラバで類人猿の継続調査を行ってきた。これまでは糞分析などの間接的な手段で生態資料を収集してきたが、2003年度より本格的にゴリラの人づけに着手した。本発表では人づけ開始11年目の現状を報告する。2003年5月から2004年3月まで、290日踏査を行い、156回ゴリラに遭遇した(遭遇頻度 0.54回/日)。ちなみにチンパンジーとの遭遇頻度は0.19回/日である。ゴリラに遭遇した際は、まずなるべく気づかれないように彼らの活動を観察し、気づかれた時点で姿をさらし、個体識別のためにビデオ撮影を行うようにした。ゴリラが移動した場合は可能なかぎり追跡をした。逃げられた場合は匂いや足跡をたよりに同一集団を再度確認する努力を行った。遭遇頻度は初期の5,6月で低く、7月以降は月平均遭遇頻度が0.6回/日前後で推移した。ほとんどの場合、ゴリラは観察者に気づくとそれまでの活動をやめて逃げた。逃げる際にシルバーバックが激しい叫び声をあげる場合と、静かに立ち去る場合があった。調査時期が下るにつれ、静かに立ち去ることが多くなった。また、観察者に気づいてから逃げるまでの時間も調査の後半にかけて長くなった。ゴリラの人づけには、特定の集団を識別して、同一集団を繰り返し追跡することが不可欠だといわれる。残念ながら、個体の外形的特徴により確実に識別された集団はない。しかしながら、1月10日に観察者の存在に寛容で、なかなか逃げない集団を確認した。3月初旬までにこの集団を繰り返し追跡することができた。今後、さらなる努力によって、ムカラバにおいて直接観察にもとづくゴリラの生態研究が可能になると期待される。
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© 2004 日本霊長類学会
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