霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: P-51
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ポスター発表
滋賀県における1970年代から2003年にかけての群れ分布拡大地域における植生の特徴
大井 徹
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抄録
滋賀県において1978年から2003年までの間にサルの群れの分布拡大があった地域の植生と、この間、距離的に分布拡大が可能であっただろう地域の植生を現存植生図から読み取り、比較した。1978年の分布データは環境省の環境保全基礎調査のデータ(5kmメッシュで整理)、2003年時点のデータは群れの行動域調査にもとづく(滋賀県委託、獣害総合研究所調査結果に補足調査のデータを追加し修正を施したもの)。分布拡大した地域の植生毎の面積の割合は、アカマツ群落(45%)、農業利用地(21%)、林業利用地(13%)、ヤブツバキクラス二次林(8%)、市街地・宅地等(7%)、その他(6%)の順となった。分布拡大が可能であった地域の各植生の面積割合を期待値、分布拡大した地域の各植生の面積割合を観測値としたイブレフの選択係数を指標として、サルの分布拡大傾向の強い植生を評価すると、選択性の高い順番では、ヤブツバキクラス二次林(0.72)、竹林(0.52)、林業利用地(0.41)の順となった。逆に、忌避性が最も高かったのは湿地植生(ヨシクラス、ツルヨシ群集、ヌマガヤオーダーなど)(-0.71)、ブナクラス域二次林(-0.66)、ブナクラス域自然林(-0.31)、農業利用地(-0.29)の順であった。ブナクラス域と名づけられた高標高域よりもヤブツバキクラス域の低標高域への分布拡大傾向が強いこと、低標高域の植生でも自然度の高い森林よりも中程度に人為的かく乱が加わった森林への分布拡大の傾向が認められた。サルの分布拡大、被害拡大と里山の管理・利用のあり方との関わりが示唆された。
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© 2004 日本霊長類学会
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