霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: S-06
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ポスター発表
4歳から33歳カニクイザルの脳MRI画像
*成田 勇人揚山 直英斎藤 直之岡林 佐知片貝 祐子小川 浩美小松崎 克彦小野 文子寺尾 恵治
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抄録
(目的)霊長類医科学研究センター(TPC)で維持されている老齢カニクイザル群は老化や老人病を解析するために必須の研究資源である。我々は、高磁場(3T)MRI装置を用いて、カニクイザルの脳撮像条件の検討を行った。さらに老齢カニクイザル群を含めた動物の脳MRI撮像を行い、加齢に伴う変化について解析した。
(方法)動物はTPCで出生した4歳∼33歳のカニクイザル30頭を用いた。動物は塩酸ケタミン5mg/kg及びキシラジン1.2mg/kgの筋肉内投与麻酔による不動化を行い、撮像中の動物は保温剤を用いて保温した。空間分解能・解像度を上げるために撮像視野を小さくして、高いS/Nを保つなど撮像条件に工夫をし、ヒト用ヘッドコイルのCP型コイルを用いて撮像した。脳の解剖学的部位の特定はMRI撮像後案楽殺し、灌流固定を行った上で脳を摘出して、冠状断を作成した。
(結果)ヒト用ヘッドコイルを用いて撮像を行う場合、上記条件設定により、T1、T2及び、プロトン強調画像は安定して構築された。しかし、血流阻害と組織障害の差分の把握に有用な拡散強調画像と造影剤(ガドジアミド水和物水溶液)を用いた組織灌流画像においては、解析に十分な画像を得ることは難しかった。また、脳の解剖学的形態の比較については30歳雄カニクイザルで側脳室の顕著な拡大所見が得られるなど画像診断学的にも有意な所見が得られた。
(考察)老人病に代表される異常老化のメカニズムを明らかにするために、画像診断を用いた評価方法を樹立することは必須である。我々は老齢カニクイザル群を用いて老人病モデル動物の遺伝的・病態生理学的解析を行うと共に、各年齢動物の画像データベース構築を引き続き進めていく計画である。
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© 2005 日本霊長類学会
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