霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: S-07
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ポスター発表
カニクイザルの人工哺育
*羽成 光二新井 千尋高野 淳一朗成田 豊子藤本 浩二寺尾 恵治
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抄録
(目的)独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター(元国立感染研筑波医学実験用霊長類センター)のカニクイザル繁殖コロニーでは、年間約230頭の新生仔が出生する。1990年頃から繁殖群が、野生由来ザルからF1世代育成ザルに移るに従い、哺育拒否などの理由で、母ザルに哺育されない仔ザルが増加した。それら仔ザルを救う目的で人工哺育を行った。本発表では、霊長類医科学研究センターにおけるカニクイザルの人工哺育の方法と成績について紹介したい。
(方法)人工哺育を行った仔ザルはほとんどが0日齢であったが、母ザル哺育の途中から人工哺育になった仔ザルも含まれていた。哺育箱については8週齢までは体温維持のために、保温性の高い発砲スチロール箱とパネルヒーターを用いた。その後はアクリル製哺育箱に移し、同居予定の仔ザルと隣合わせで飼育し、馴化状態を見ながら同居させた。最終的には一般ケージで飼育し、通常の母ザル哺育の離乳条件である、6ヶ月齢もしくは体重800gを目安に離乳とした。体重は、出生から1週間毎に測定し、母ザル哺育の仔ザルと比較した。また、1990年の人工哺育導入時からの死亡率推移も調査した。
(結果)生後112日齢までの体重成長は、母ザル哺育の仔ザルに比べて低い傾向であったが、離乳時には同体重となった。人工哺育期間の死亡率は1990年に40%であったが、2003年には10%以下となった。
(考察)体重成長については離乳時期で母ザル哺育の仔ザルと差が無く、死亡率も減少したことから、今回の人工哺育はカニクイザルに適していると判断した。人工哺育は、手間がかかる、費用がかかるなどデメリットがあるが、その一方で、生後0日齢からの投薬が可能であること、疾患に対する早期の対応が可能であること、微生物学的に良質なサルが確保しやすいなどのメリットがあり、人工哺育を積極的に実施することも検討中である。
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© 2005 日本霊長類学会
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