霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: C-05
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口頭発表
ニホンザルの二足歩行と四足歩行における動的足底圧分布
*平崎 鋭矢中務 真人荻原 直道熊倉 博雄
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抄録
ヒト歩行時の足の動きに見られる特徴が形成された機序について明かにすることを目的として、我々は霊長類ロコモーション時の足の動態を分析・比較する試みを継続中である。今回は、立脚相の足の動きを詳細に捉えることができる足底圧分布に注目し、二足訓練を高度に受けたニホンザル(以下訓練群)の二足歩行、および通常のニホンザルの二足歩行と四足歩行時の足底圧を計測した。計測には水平な歩行路に設置した圧力分布計測マット(Bigmat-1/4、ニッタ)を用いた。マットの分解能は5mm、計測周波数は120Hzであった。歩行速度の統制は行わなかった。その結果、1)通常のニホンザルの二足歩行時には、足の最初の接地は第5中足骨頭付近でなされるのに対し、通常のニホンザルの四足歩行時、および訓練群の二足歩行時には足根部(踵立方関節付近)から接地すること、2)通常のニホンザルでは、二足時と四足時の両方で母指が最初に接地する場合も多く見られたのに対し、訓練群ではそのようなケースは全く無かったこと、3) 足底圧の中心(COP)は、四足歩行時には足根部から第3、4指に向けて比較的真っ直ぐ進むのに対し、訓練の有無に関係無く二足時には足のやや外側を通り、中足骨頭付近で内側に偏倚すること、4)訓練群では、母指の外転角が通常のニホンザルに比べて小さいこと、5)訓練群では足根部の圧が極めて高く、一方中足部の圧が通常のニホンザルに比べてかなり低いこと、6)訓練群においても最後に地面を離れるのは第3指であり、足の機能軸の第2指への移動は見られないこと、などが明かになった。これらの結果から、COPの中足骨頭レベルでの内側偏倚は、訓練の有無に関わらず二足歩行という運動に強く関連するであろうこと、および母指の内転、足の縦アーチの形成、ヒールストライク等は長期間地上二足歩行を続けることで獲得された可能性が高いことが示唆される。
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© 2005 日本霊長類学会
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