霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: P-02
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ポスター発表
同所的に生息するCercopithecus属3種の遊動パターンと混群形成
*深谷 もえ
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抄録
多くの霊長類種は他の霊長類種と同所的に生息している。ウガンダのカリンズ森林にはアカオザル(Cercopithecus ascanius)、アオザル(C. mitis)、ロエストモンキー(C. lhoesti)、チンパンジー(Pan troglodytes)、アビシニアコロブス(Colobus guereza)、アヌビスヒヒ(Papio anubis)の6種の昼行性霊長類が生息している。なかでもアカオザルとアオザルは、共に遊動し採食する混群を形成することが観察されている。これまでの混群研究では、異種どうしが積極的に同じ場所を利用しているのか否かを議論する際、モデルを用いた理論的な研究が多くなされてきた。しかし複数種がどこで何を食べ、どのように遊動しているのかはほとんど明らかになっていない。本研究では混群を形成するアカオザルとアオザル、混群を形成しないロエストモンキーの同属3種に着目し、それぞれの遊動ルートから前2種の混群が積極的に形成されているかを検討した。2004年9月から11月、カリンズ森林において行動域が重複している3種の群れを調査した。3種のオトナメスを3人の観察者が同時に追跡し、それぞれの地図上の位置をGPSで記録した。また5分ごとに追跡個体の行動と利用している高さを記録し、採食が行われていた場合は採食品目を記録した。アカオザルとアオザル間の距離は短く、ほぼ同じタイミングで同じ方向に遊動することが多かった。しかしロエストモンキーの遊動ルートは、前2種の遊動ルートと大きく異なっていた。またアカオザルとアオザルの採食品目は大きく重複していたが、ロエストモンキーは前2種と比較して地上性が強く、より草本を採食することが多かった。アカオザルとアオザルは、よりニッチの似ている種どうしで積極的に混群を形成していると考えられた。
本研究はJSPS-HOPEによる助成を受けて行われた。
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© 2005 日本霊長類学会
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