霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: P-12
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ポスター発表
霊長類においてメスの形質は精子間競争の強さに影響するか?
*沓掛 展之
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抄録
(目的)オス間の繁殖をめぐる競争には、さまざまなメスの形質が影響する。霊長類を含む多くの動物において、(体重を統制したあとの)相対睾丸重量は、複雄群を形成する種において、単雄群を形成する種よりも大きい。複雄群を形成する種では、メスが複数のオスと交尾することから、睾丸重量の違いは精子間競争仮説を支持するものと解釈されてきた。しかし、メス形質が精子間競争の強さにどのように関係しているかは分かっていない。本研究では、睾丸重量と繁殖システムの関係が、メスの形質(性皮の腫脹、発情時期の長さ、複数のメスが同時に発情している可能性)によって交絡している可能性を検証した。
(仮説、予測) (1)腫脹する性皮の機能として、発情状態をオスに宣伝しながらも、排卵の正確な時期を隠蔽するという説が提唱されている。この仮説からは、メスが腫脹する性皮をもつ種において、そうでない種と比較して、精子間競争が強くなると予測される。(2)発情期間が長く、発情周期の間隔が短い種において、複数のメスが同時に発情する可能性が高い。その結果、単独のオスが全ての発情メスを独占することが難しくなると予測される。この可能性が正しいなら、発情重複の期間が長い種において、短い種と比較して、精子間競争が強いと予測される。
(方法)過去のデータベースから、相対睾丸重量、発情周期の長さ、発情重複性の指標、性皮の有無を調べた。CAICを用いたIndependent contrasts法により、種間比較をおこなった。
(結果、結論)腫脹する性皮、発情周期の長さ、発情重複というメスの形質は、相対睾丸重量と関係していなかった。この結果は、精子間競争の強さはメスの形質によって影響を受けていないことを示している。本研究の結果は、精子間競争の強さが、配偶システムによって決定されるという過去の結果を補強するものである。
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© 2005 日本霊長類学会
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