霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: Q-01
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ポスター発表
サウジアラビアのマントヒヒ共生群の社会構造
地域集団
*森 明雄山根 明弘岩本 俊孝杉浦 秀樹庄武 孝義ブーク アハメッド
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抄録
マントヒヒの社会構造は、エチオピアのエレル・ゴッタで観察され、重層社会を形成することが知られている。しかし、研究は1地域での研究に限られており、他地域でも同じような社会構造を持っているのかは不明である。私たちは、エチオピアとは地理的に隔離された紅海を挟んだアラビア半島側、サウジアラビアに生息するマントヒヒの研究を行ってきた。2003年6月の霊長類学会大会で一度報告したが、その後の研究の進展を報告する。調査対象群は、タイーフ市の郊外に生息し、公園や道端に捨てられた食料ゴミに大きく依存する共生群である。個体数が500頭を越え、個体識別が困難である。血液採取のために捕獲した時に、イヤー・タッグを着けて放している。イヤータッグ個体を観察することによって、社会構造を推定する。
 前回、ユニット構造が不安定であることは述べたが、ユニットの崩壊を主な原因としてあげた。今回の観察では、大きなユニットが形成され、また、それが、分割されるという現象が顕著に見られた。
 前回、2002年の観察では、バンド構造が見られたと報告したが、2003年夏の調査では、前年見られたバンドを構成するメンバーは、組み替えられているのが見られた。2004年の調査でも、さらに、組み替えが見られた。
 今回新たに見つかった現象は、調査地域に出てくる約500頭のポピュレーションは閉鎖系ではなく、地域外集団との個体の移動が見られた。移動は、バンド単位だけではなく、ユニット単位でも起きていることを示すケースが数例見られた。
 これらの結果は、クランの存在に疑問を与えるものである。ただ、クランを形成するのに必要なオス間の行動特徴は、ある程度見ることができた。
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© 2005 日本霊長類学会
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