霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: Q-04
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ポスター発表
GPSテレメトリを用いた白浜地域の野生サルの遊動域評価
*スプレイグ デイビッド岩崎 亘典萩原 光蒲谷 肇
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抄録
(目的)房総半島南部白浜地域にはアカゲザルが生息しており、その遊動域を明らかにすることは房総半島におけるニホンザルの保護・管理において重要な課題である。また、GPSテレメトリは継続的な位置情報の取得が可能であり野生生物の生態調査に効果的だと考えられるが、野生のサルに装着した例は少なく、有効性の検証は十分には行われていない。そこで本研究では、白浜地域に生息する野生サルにGPSテレメトリを装着し、遊動域や環境選択性を明らかにするとともに、GPSテレメトリの有効性について検討する。
(方法)大型檻を用いて捕獲した個体(アカゲザル♀、7.0kg)に、テレビルト社製のGPS-Posrec collar 120を装着した。電源が切れて脱落した首輪を回収、テレビルト社に返送しデータを取得した。測位は毎日0、4、7、11、13、16、19時の7回行うように設定した。GPS首輪により得られた位置情報は、ArcGISを用いて解析した。
(結果)本調査では2003年3月27日から5月2日までの計37日間の位置情報が得られ、成功率は45.5%であった。時間別に見ると0時と4時に成功率が高く、10時、ついで7時で成功率が低かった。得られた位置情報は2Dデータが最も多く、ついで、3D+、3Dの順になった。遊動域は主に長尾川西岸であるが、一部東岸に移動することがあった。
(考察)同じ機種を使ったSprague et al. (2004)に比べ成功率が高かった。これは、調査地域の植生の違いによる影響と、機器性能の向上によると考えられる。遊動域については、聞き取り調査で把握されていた北方への拡大と、他群との棲み分けが確認出来た。環境選択性については、農耕地の選択性が低く、マテバシイ林の選択性が高い傾向が認められた。特に、長尾川東岸への移動は、マテバシイ林を利用していたためと考えられる。
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© 2005 日本霊長類学会
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