霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: Q-07
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ポスター発表
飼育チンパンジーの遺伝子多型と行動特性評価との関連性(2)
*井上-村山 美穂鵜殿 俊史中井 映里岩月 裕美HONG Kyung-Won松沢 哲郎竹中 修早坂 郁夫伊藤 愼一村山 裕一
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抄録
(目的)神経伝達物質やホルモンの受容、回収、分解に関連した各遺伝子には多型性があり、ヒトでは遺伝子型と性格や神経疾患との関連が報告されている。我々はチンパンジーでもこれらの遺伝子に多型を見いだし、遺伝子発現様式がヒトとは大きく異なっている可能性をすでに報告した。本研究では、飼育チンパンジーの多数個体で行動特性評価を試み、遺伝子型との関連を解析した。
(方法)三和化学・熊本霊長類パークの計80個体(5-35才、オス39個体、メス41個体)について、ヒト用のYG性格検査の質問120項目に1個体あたり3名の飼育者が回答する方法で、12の行動特性を評価した。ドーパミン受容体D4遺伝子(DRD4)のイントロン領域、ドーパミントランスポーター遺伝子(DAT1)の3’非翻訳領域、セロトニントランスポーター遺伝子(5HTT)のイントロン領域、アンドロゲン受容体遺伝子のエキソン領域のグルタミン反復(ARQ)とグリシン反復(ARG)、エストロゲン受容体α遺伝子(ERa)のプロモーター領域、エストロゲン受容体β遺伝子(ERb)のイントロン領域の、6遺伝子7領域で、それぞれ反復配列数の異なる3、2、4、10、4、4、6種類のアレルが見いだされた。性別、年齢、遺伝子型等によりグループ分けし、行動特性評価値との関連性を検討した。
(結果と考察)オスは「攻撃的」「のんきさ」「支配的」で、高得点であった(P<0.01)。20才未満の若い個体は「主観的」「のんきさ」(P<0.001)「回帰性傾向」「非協調的」(P<0.01)で、高得点であった。20才以上のオスは「支配的」の得点が高かった(P<0.001)。遺伝子型との関連では、ARQの短いアレルを持つと「抑うつ性」、ARGの長いアレルを持つと「劣等感」の得点が高い傾向にあった。ARQの結果は、昨年報告した京都大・霊長研11個体の結果と同様の傾向を示した。
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© 2005 日本霊長類学会
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