霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: Q-09
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ポスター発表
Jump or Not (2) ─ チンパンジー乳児における運動の選択と身体成長の関係について─
*友永 雅己伊村 知子水野 友有
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抄録
チンパンジーのみならず、全ての動物は、複雑な構造をもつ環境の中を移動する。このような移動を可能にするためには、自らの身体に関する知識と環境の構造を正しく認識する必要がある。このような複雑かつ身の危険をもたらす可能性のある環境内での移動の必要性が自己知覚の発達をもたらし、自己認識の発生にいたったと考える研究者もいる。一方ヒトでは、「またぎ」と「くぐり」の選択のように、複雑な環境に対して、自らの身体のサイズに応じた適切な運動様式を、実際に行使しなくとも選択することが可能であり、このことはアフォーダンスとの関連で議論されてきた。このように、「移動」は知覚と行為の相互作用を考える上で非常に興味深い対象であるといえる。しかしながら、ヒトとは全く異なる移動様式をもつ動物での研究はほとんど行われていない。われわれは、乳幼児期のチンパンジーを対象として、壁のさまざまな高さに貼りつけられた磁石を際に彼らがどのような行動(運動)をとるかについて2歳から縦断的に観察をおこなってきた(2003年第14回発達心)。今回の発表では、その後も継続して行った4歳までの結果をもとにチンパンジーにおける運動の選択と身体サイズなどとの関連について検討した。被験児は2000年生まれのチンパンジー、クレオとパル。実験ブース内の一角には天井入口から床にかけて3段のはしごが設置されている。実験者は、磁石を任意の高さ(床から5cm刻みで、30-190cmの範囲)にとりつけ、それをチンパンジーに取らせるということを反復して行った。実験は2歳から4歳にかけて半年に1回の割合で行った。その結果、身体成長にともなって、運動の選択が切り替わる高さが変化するのみならず、4歳になるとそれまでは頻出していたジャンプしてとるという行動が消失した。これは、身体の長さのみならず重さ(体重)も運動の選択に影響をおよぼしていることを示唆している。
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© 2005 日本霊長類学会
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