霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: R-05
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ポスター発表
カニクイザルコロニーにおける赤血球動態
*斎藤 直之大藤 圭子高野 淳一朗原 正幸岡林 佐知片貝 祐子中村 紳一朗向井 鐐三郎小野 文子吉川 泰弘寺尾 恵治
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抄録
(目的)カニクイザルにおける疾患モデル開発を行っていく上で、各種生理学的数値は重要な参考所見となる。しかし、これまでに老齢個体を含めた多頭数のサルについて疾患との因果関係について調査したデータは少ない。当センターの老齢カニクイザル群で血液学的に縦断的調査及び繁殖コロニーザルの横断的調査を実施した。
(方法)20才齢以上の老齢ザル40頭及びコロニーザル1500頭について、定期健康診断及び疾患発生時に臨床症状の診断を行い、血液学的、血清生化学的ならびにウイルス学的検査を行った。
(結果)赤血球数は加齢に伴いわずかに増多傾向が認められた。また、生殖器障害、慢性下痢、外傷或いは細菌感染症が認められた個体では続発性の貧血が認められる場合があった。これらの個体の多くは疾患に対する治療、輸液及び鉄剤投与等の対症療法により症状は改善されたが、糖尿病等の基礎疾患を持っている個体では治療に反応せず、死に至る場合があった。また、一部の個体では原因不明の貧血が見られ、サルレトロウイルス(SRV/D)抗体検査及びPCR検査を行ったところ91%の感染率であった。特に重篤な症状を示した個体ではPCR陽性であるが抗体は陰性であった。
(考察)老齢カニクイザル群及び繁殖コロニーザルの赤血球動態について検討を行った。加齢に伴う生理的変動における基礎データを蓄積するとともに、異常値における疾患の早期発見・診断と治療を行うことは、老齢カニクイザルを含むコロニーの維持管理に重要な手段となりうる。また、原因不明の貧血はSRV/D感染が起因の一つとなっている可能性が示唆され、高品質なサルの実験動物供給ならびに疾患モデル動物開発のためには、本ウイルスについて解析し排除することが重要と考えられた。各種検査結果をもとに血液疾患の病態解析のためのデータを構築していく予定である。
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© 2005 日本霊長類学会
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