霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: R-07
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ポスター発表
PCRによる糞便内ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)の検出:チンパンジー野生二集団の比較
*藤田 志歩小笠原 麻美高木 かおり景山 節
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抄録
ウェルシュ菌はヒトや家畜では腸管内の常在細菌であり、生活環境などによって菌体数が変化することが知られている。近年、PCR法の条件が確立されたことにより、極めて微量の糞便内ウェルシュ菌を検出することが可能になった。発表者らはこれまでに、飼育下および野生チンパンジーについて糞便内のウェルシュ菌の有無を調べたところ、野生個体からは検出されず、ほとんどの飼育下個体からは検出されたことを報告した(第18回日本霊長類学会大会)。今回、マハレ(タンザニア)およびボッソウ(ギニア)に生息する野生チンパンジー二集団を対象に、糞便内ウェルシュ菌の検出を行い、生息地および季節による検出率の違いについて検討した。マハレにおいて乾期(2001年9∼10月)および雨期(2001年2∼3月、2005年1∼2月)に合計81個、ボッソウにおいて乾期(2002年3月)および雨期(2004年7∼8月)に合計53個の糞便を採集した。個体あたりの採便回数は平均0.7(範囲0∼4)回/個体・時期であった。糞便は嫌気培養した後 、2回の PCRを行い、PCR産物を電気泳動することによりウェルシュ菌の有無を確認した。first PCR (104∼106個以上の菌を検出可能)の結果、マハレでは乾期・雨期ともに菌は検出されず、ボッソウでは4%(乾期)および17%(雨期)のサンプルから菌が検出された。nested PCR (10∼103個以上の菌を検出可能) の結果、ボッソウでは、17%(乾期)および30%(雨期)のサンプルから菌が検出されたが、マハレでは乾期において1サンプル(6%)から検出されただけであった。以上のことより、野生チンパンジーにおける糞便内のウェルシュ菌検出率および菌体数は、チンパンジーの生息地によって異なることが分かった。また、検出率の高かったボッソウでは、乾期に比べ雨期の方がより高いことが分かった。
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© 2005 日本霊長類学会
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