霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: R-11
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ポスター発表
国内の大型類人猿:大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)の活動から
*落合-大平 知美倉島 治赤見 理恵吉川 泰弘松沢 哲郎平井 百樹長谷川 寿一
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抄録
日本国内には動物園を中心に、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの3種の大型類人猿が飼育されている。「大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)」では、これら大型類人猿の基本情報を収集および公開するとともに、廃棄される遺体の有効利用など、非侵襲的な方法での研究利用の推進をおこない、飼育動物の生活の質(QOL)の向上などにつながる研究の促進と、その研究成果のフィードバックに取り組んできた。現在では、国内すべての類人猿の飼育施設や生年月日、血縁関係といった、最小限の情報が書かれた個体ページが完成し、誰でもホームページで閲覧することができる。本発表では、国内血統登録書などの資料と、これまで訪問した25飼育施設のヒアリングをもとに、明らかになった結果について報告する。チンパンジーは、国内56施設で355個体が飼育され(2003年12月現在)、動物園での展示だけでなく、研究やショーにも利用されている。運営形態も群れ構成も各施設によって様々だが、近年は亜種問題による隔離飼育も目立っている。ゴリラは、ニシローランドゴリラが大都市の公立動物園を中心に、30個体12施設で飼育されている(2003年現在)。国内では繁殖が難しく、1996年から現在までに生まれた個体は2個体のみで、総個体数は41から30に減少した。オランウータンは、56個体26施設で飼育されているが(2002年現在)、スマトラとボルネオの2亜種が存在し、亜種間雑種の問題や血縁の偏りが問題となっている。今後、大型類人猿を飼育する施設の訪問をすすめ、各個体の顔写真や移動の経歴、ケガの経歴、健康診断の結果などの情報の追加をおこなうとともに、過去の資料を収集し、最新の資料を付け加えていくことで、国内大型類人猿の個体数動態や将来予想などをより詳しく調査していく予定である。
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© 2005 日本霊長類学会
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