霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
セッションID: B-21
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口頭発表
マハレ公園におけるチンパンジー観光の現状
*西田 利貞
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抄録
タンザニアのマハレ山塊国立公園で、1人の観光業者がチンパンジーウォッチングを対象に営業を始めたのは1990年頃である。当初、旅行者数は1日に数人で、年間100人にも満たなかった。しかし、現在は公園当局を含め4つの業者が営業しており、旅客数も500人を越えている。旅行客は7-9月の乾期に集中して来るので、観光客、ガイド、公園レンジャー、研究者を含め、一度に20人以上もの人数が数頭のチンパンジーを観察するといったこともまれではない。これはチンパンジーにストレスを与え、またヒトからの病気感染のリスクも高くなり、研究の障碍にもなっている。タンザニア国立公園公団(TANAPA) は、観光資源であるチンパンジーに打撃を与えない観光開発を模索し、2005年に「マハレ公園全般管理計画(案)」(GMP)をフランクフルト動物学協会に作成させた。しかし、TANAPAは、GMPの採用により収入が減少するのを恐れて、まだGMPを確定させるまでに至っていない。公園管理に必要な経費は、現在も観光収入より多く、公園設置のために犠牲となった元住民に支払われるべき代価は捻出できていないからである。チンパンジーにストレスをこれ以上与えず、かつ収入を増やすには、(1)観光の乾期集中を排すこと、(2)入園料の値上げと季節入園料の導入、(3)入園のためのブッキング・システムの導入、(4)チンパンジー観察以外のアトラクションの振興、(5)元住民に対する新ビジネスの創出、など多角的な方策が必要である。
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© 2006 日本霊長類学会
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