抄録
日本においてニホンザルの農林作物被害の歴史は長く、これまでに様々な取り組みがなされてきた。現在は、特定鳥獣保護管理計画(以下、保護管理計画)を主軸とする総合的な取り組みへと視点が広がり、幾つかの試みが各県で進められている。滋賀県においては、この制度に則り、いち早くニホンザルの保護管理計画が策定された。そして、実現に向けての模索が続けられ、市町村単位での動きもみられるようになっている。その例として、より効果の高い侵入防止柵の開発と設置、作付け工夫による被害低減、ウシの放牧や里山管理の推進による農地への侵入抑制などの取り組みなどが挙げられ、地域住民やNPOが主体的に関わっているものもある。一方、保護管理計画に謳われる生息地保全に活かせる研究は少なく、研究サイドと実務サイドにギャップがある点も否めない。
本自由集会では、5ヵ年計画策定年度を迎えた滋賀県におけるニホンザルの保護管理にまつわる様々な取り組みを報告していただき、地方行政・住民(NPOなど)・研究者を交え、保護管理計画への活用法を議論する場としたい。また、発展に向けた課題を整理したいと考えている。
1)滋賀県の地域環境と猿害発生様式 千々岩哲(株式会社ラーゴ)
2)ニホンザルの生息地利用-金華山の事例から 辻大和(麻布大学)
3)獣害対策としての里山管理 野間直彦(滋賀県立大学)
4)生息地改善への試み-強度間伐跡の下層植生 西村知記(かもしかの会関西)
5)獣害に強い集落環境を目指した取り組み-住民の合意形成をいかに図るか?
山中成元(滋賀県農業技術振興センター)
6)第二次特定鳥獣保護管理計画(ニホンザル)策定に向けて 福島森(滋賀県自然環境保全課)
7)ニホンザルの保護と管理の狭間から-分布域管理に向けて 大井徹(森林総合研究所)
8)意見交換