霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-46
会議情報
ポスター発表
ヒトの精子形成サイクルの再検討
*中野 まゆみ松林 清明花本 秀子榎本 知郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
 霊長類の精上皮はベニガオザル・アカゲザル・オナガザルなど精子形成の活発なオナガザル科のサルで研究されてきた。ヒトの精巣についてはClermont等が1960年代に精子形成サイクルに伴う精上皮を6ステージに分類した。我々はゴリラやオオガラゴなどで、標準的な精子形成サイクルがあてはまらない精上皮の見られることを報告した。今回ヒトの精子形成サイクルについて再検討を行ったので報告したい。
 ヒトの死亡個体(N=6)から精巣標本を採取し*、フォルマリンで固定、パラフィン包埋、薄切し、HE染色後に光学顕微鏡で観察した。
 その結果、ヒトの精上皮には支持細胞であるセルトリ細胞が多く、Clermont等が提示した6ステージの細胞セットに合致しない精上皮が多数見られた。また、標本によっては、減数分裂後の精子細胞が精子へと成熟する過程で細胞の数が減少した。
 これまでClermont等の精子形成サイクルに関する研究では、精子形成において細胞の減少がほとんどないオナガザル科のサルを中心に研究され、細胞セットの揃っているものが正常とされ、これに合わないものは無視されてきた。しかし、今回ヒトではゴリラ、ガラゴと同様に分裂の周期が規則的でない可能性が示唆された。霊長類では、精子形成サイクルが不規則な場合を含めて、精子形成を分析していく必要があると思われる。
(*東海大学実習標本)
著者関連情報
© 2007 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top