抄録
【はじめに】筋音図(Mechanomyogram:MMG)は筋の活動状態を表す測定機器として近年注目されている。我々はこれまで膝関節角度変化がMMGに及ばす影響やMMGを用いて周波数解析を行い、MMGが筋機能評価に適していることを報告してきた。今回、下腿回旋肢位の違いが大腿四頭筋に及ぼす影響をMMGと筋電図(Electromyogram:EMG)を用いて比較検討したので報告する。【対象および方法】対象は健常成人9名で、平均年齢23±6歳、身長171±4cm、体重63±3kgであった。被験筋は大腿直筋(RF),外側広筋(VL),内側広筋(VM)とした。筋力は等尺性膝伸展力をKIN-COMで測定し、肢位は坐位にて股・膝関節90度屈曲位,足関節底背屈0度,下腿回旋肢位は被験者の他動的最大回旋位とし、外旋位,中間位,内旋位の3肢位とした。測定手順は、まず下腿中間位での最大随意収縮(MVC)を5秒間2回測定し発揮張力が最も大きかった試行をMVCとした。MVCを基に、20%・40%・50%・60%・70%・80%MVCを各下腿回旋位で5秒間2回行った。その際、%MVCレベルをモニターに表示し、被験者に視覚的フィードバックを与えた。EMGは双極表面電極を使用し、電極配置は国際電気生理運動学会が推奨する位置に配置した。MMGはピエゾ素子センサー(HP社製)を使用し、各被験筋EMG電極の中間に配置した。解析対象のEMG・MMGは各下腿回旋肢位の各%MVC5秒間の前後1秒間を除いた3秒間とした。EMG・MMG共にサンプリング周波数1KHzでパーソナルコンピューターに取り込んだ後、BIMUTAS IIを使用しEMGは10-350Hz,MMGは2-100Hzでバンドパスフィルター処理を行い各肢位での積分EMG(IEMG)と積分MMG(IMMG)を算出し、下腿回旋中間位50%MVCでそれぞれ正規化した。統計処理は一元配置分散分析を使用し、事後検定はFisherのPLSDで行い有意水準を5%とした。【結果】IEMG:RFでは中間位が外旋位・内旋位よりも大きい傾向を示した。VLでは外旋位が中間位・内旋位よりも大きな値を示した。VMでは内旋位が中間位・外旋位よりも大きな値を示した。IMMG:全ての筋で70%MVCまでは%MVCが増加するに従いIMMGも増加したが、80%MVCでIMMGは減少した。RFでは中間位が外旋位・内旋位よりも大きな示した。VLでは外旋位が中間位・内旋位よりも大きな値を示した。VMでは内旋位が中間位・外旋位よりも大きな値を示した。VL・VMではEMGには認められなかった中間位との差を示していた。【考察】これまで下腿回旋肢位と大腿四頭筋活動との関係は一定の見解は得られていないが、Mullerらは内側広筋斜頭部は脛骨を内旋し,外側広筋は脛骨を外旋させると報告している.今回の結果はMullerら報告を支持する結果と思われる.また,肢位の違いによる筋活動状態はEMGよりもMMGの方が感度よく測定できることが示唆された。