霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-48
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ポスター発表
霊長類の倹約遺伝子特性
*竹中 晃子中村 伸鵜殿 俊史早坂 郁夫上原 美和子稲垣 美希渡部 聡子
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抄録
 目的:エネルギー倹約遺伝子多型は、エネルギー消費を減少させる多型のことである。交感神経より放出されたノルアドレナリンが脂肪細胞表面のβ3アドレナリンレセプター(β3AR)に結合し脂肪酸を遊離させ、褐色脂肪細胞において熱産生を促す。このβ3AR遺伝子の64Trp→Arg多型の頻度はピマインディアン、日本人などモンゴロイドで0.3-0.2、白人で0.08であり、ヘテロ接合型の人は消費エネルギーが200kcal/日節約されている。従って、食物環境の良い現在では肥満を誘発する傾向がある。霊長類は主に植物を採食し、気候変動などにより食物摂取量を充分確保できない場合もある。しかし常に充分な食物が得られる地域もあるため、β3AR多型が種あるいは地域によって異なるか否かを検討した。
 方法:DNA 10ng を鋳型とし、64Trp/Arg を含む112bpを増幅できるように設定したプライマーを用いてPCRを行い、その後、制限酵素MvaIにより切断、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって切断の有無を判定した。
 結果:調べた35頭のチンパンジー(霊長研5頭、三和化学30頭)、16頭のオランウータン(マレーシア)、さらに、ニホンザル18頭、カニクイザル14頭、アカゲザル10頭も全てArg型であり、種や生息地域における差は認められなかった。  考察:赤道付近に生息する霊長類も倹約型を有し、消費エネルギーを減少させずに、厳しい食物環境に際しても生存可能なように適応していると考えられた。ヒトでは類人猿と分岐した後Trp型が出現したが、栄養価の高い動物食を取り入れたこと、火を使用したことにより氷河期にも生存可能になり、世界へ拡散できたのではないかと考えられる。飼育下の霊長類の中で肥満を示す個体にさらに別の遺伝子が関与している可能性もある。 (霊長類研究所の共同利用研究の補助により行われた。)
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© 2007 日本霊長類学会
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