抄録
目的および資料;体肢骨における筋付着部の大きさと筋重量の関係について、ヒト(Homo sapiens)、マンドリル(Mandrillus sphinx)、カニクイザル(Macaca fascicularis)を対象に予備調査を行った。
方法;筋付着部の大きさに関して、筋もしくは腱として骨に付着している場合は、その部分の面積を求め、腱膜状に骨に付着している場合は面積として算出不可能であるため、その付着腱膜の長さをデジタルノギスにて百分の一ミリまで測定した。面積算出には、_丸1_筋付着部周囲にX線に感光する薬品(水50mlに対し、バリトゲン5g、ゼラチン5g)を塗布、_丸2_pQCT(XCT 2000 Research +、Norland Stratec社製)を用いて骨全長の断面を取得、_丸3_三次元再構築ソフト(INTAGE Volume Editor)でPC内で再構築、_丸4_Iso-surface化することで骨表面のみの情報を抽出、_丸5_塗布された薬品を目印に筋付着部面積を算出した。筋重量に関しては電子天秤にて百分の一グラムまで測定した。
予備的分析結果;3種異種間比較では同一の筋について筋付着部の大きさと筋重量に相関は認められなかった。
考察;_丸1_異種間では、行動様式の違いから同一名の筋でも異なる働きをするために、筋付着部および筋に対する力学的要求が異なる、_丸2_体重の増減により、筋付着部および筋に対する力学的要求が変化する、_丸3_筋付着部の大きさと筋重量に実際に相関はない、さらには_丸4_面積の算出方法に問題があり、算出手順にさらなる精査を必要とする、といったことが考えられる。しかし、Factorが多岐に亘るため、どの要因が主なものか特定できなかった。本研究では個体情報が詳細に判明しているカニクイザル(Macaca fascicularis)一種のみを対象に、多数の個体において同様の調査を行った結果を報告する。