霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: A-14
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口頭発表
カニクイザルのらい菌持続感染モデル開発の試み
*寺尾 惠治
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抄録
 ハンセン病は未だに発展途上国では重要な感染症であり、新規の治療法及びワクチンの開発が待望されている。一方で、これまでのところハンセン病の再現性の高い動物モデルは確立されておらず、ワクチンの有効性評価の支障となっている。今回、カニクイザルを用いたハンセン病の感染・発症モデルを開発することを目的として、6頭の幼若カニクイザルに異なる感染経路で「らい菌」を接種した。接種後二年間にわたり、末梢血主要リンパ球サブセットレベルと3種のらい菌由来ペプチド(MMP-II、LpK、FAP)で誘導されるリンパ球幼若化反応を調査した。供試した6頭のカニクイザルのうち手根部に接種した一頭では、「らい菌」接種後3種のペプチドすべてに対するリンパ球幼若化反応が2年間にわたり持続したが、ペプチドにより反応性が異なっていた。FAPおよびMMP-IIに対する幼若化反応は接種後5ヶ月前後から出現したが、FAPに対する反応性が二年間持続したのに対し、MMP-IIに対する反応性は一年後に低下した。MMP-IIに対する反応性が低下すると同時にLpKに対する幼若化反応が急激に増加した。この個体では感染直後から休止期記憶CD4陽性T細胞と考えられるCD29high細胞レベルが増加し、二年間高レベルを維持したことから、ペプチドで誘導される幼若化反応を担う細胞集団である可能性が示唆された。さらに、調査した6頭のうち、本例のみで低レベルではあるが「らい菌」に対する抗体が接種後二年にわたり検出されることから、「らい菌」が持続感染している可能性が高いと判断している。
 本研究計画は医薬基盤研および国立感染研の動物実験委員会により科学的観点ならびに動物福祉・倫理の観点から問題がないとして承認されたものである。
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© 2007 日本霊長類学会
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