霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-06
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ポスター発表
千葉県のニホンザル生息地域内における農地、集落、農業人口の動態
*Sprague D. S.岩崎 亘典
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抄録
ニホンザルによる農作被害が発生する要因の一つとして、農村地域の過疎化が指摘されている。過疎化は農業人口の減少や高齢化、農地の耕作放棄や縮小などが含まれる複合的な現象であり、これらの現象は農業統計によって詳細に記録されている。特定のニホンザル生息地域を対象にした農業統計の分析は稀であるので、本研究では千葉県房総半島のニホンザル生息地域について1970年から2000年まで5年間隔で実施された農林業センサスの農業集落カードに基づき農地、集落、農業人口の動態を報告する。房総のサル管理調査会による1997年のニホンザル生息地域に掛かる集落を抽出し、千葉県の他地域と比較した。千葉県の農村は過疎化を免れておらず、ニホンザル生息地域はそれが同県内の他地域と比較して顕著である。1970年から2000年に農地は減少し、農業従事者は減少し高齢化し、農業従事者が農地に出向く日数が減少した。農地における農業者のプレゼンスの指標として2000年センサスに記載されている「農業従事者男150日以上」に注目すると、ニホンザル生息地域集落は平均6.3人、他地域では12.7人であった。また、ニホンザル生息地域内の集落の内、「農業従事者男150日以上」0人が27集落、1人が26集落、2人が34集落など、農業従事日数が少ない集落が目立つ。ニホンザルの分布拡大がある程度土地の利用形態によって妨げられることはGIS解析から立証できる。しかし、農村の過疎化は房総丘陵全体で進行しているために、ニホンザルの分布が拡大した地域としていない地域の間に農業動態の地域差が少なく、ニホンザルによる分布拡大と農業動態の関係はGIS解析では立証しにくい。
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© 2007 日本霊長類学会
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