霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-19
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ポスター発表
チンパンジーの糞食:飼育場所による違い
*中島 麻衣落合-大平 知美
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抄録
飼育チンパンジーの行動の中には、野生ではほとんど観察されないものや、生起頻度が明らかに高いものがある。本研究ではそれらの行動のうち、飼育チンパンジーでよく観察される「糞食(Coprophagy)」に注目し、その発生頻度や持続時間が飼育環境によってどのように違うか比較調査をおこなった。調査対象は、京都大学霊長類研究所のチンパンジー10個体(オス1個体、コドモ3個体を含む)である。調査は、「屋外放飼場(695m2)」と「サンルーム(100m2)」の2ヶ所でおこなった。屋外放飼場には、高さ15mのトリプルタワーがあり、大小様々な樹木が生育している。サンルームには、高さ8mのタワーがあり、数種類の樹木や草本が生育している。観察方法は、アドリブサンプリングとスキャンサンプリングを併用した。アドリブサンプリングでは、群れ全体を見ながら糞食行動のみに注目し、その開始時刻と終了時刻を記録した。それ以外の時間は、1分毎のタイムサンプリング法でスキャンサンプリングをおこない、観察できるすべての個体の行動を記録した。観察時間は、11:00から12:00と14:00から16:30(11月から3月は13:30から16:00)の1日3.5時間とした。今回は、2006年6月から2007年2月に得られたデータを分析した。観察日数は32日間、のべ105.5時間となった。糞食行動は、屋外放飼場で58回、サンルームで47回観察された。発生頻度は、これらの飼育場所によって差はなかった。しかし持続時間は、サンルームよりも屋外放飼場のほうが短かった(P<0.01)。「サンルーム」に比べ土地が広くタワーが高く緑が多い「屋外放飼場」で、糞食行動をおこなっている時間が短かったことから、「より豊かな飼育環境では糞食行動の時間が短くなる」と言えるかもしれない。今後はその要因についてより詳細に分析していく予定である。
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© 2007 日本霊長類学会
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