霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-32
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ポスター発表
チンパンジ-幼児1~7歳齢の砂遊びの発達
*武田 庄平松沢 哲郎
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抄録
(目的)チンパンジ-幼児の認知発達分析の一環として、不定型な砂という素材とそれを操作することのできる簡単な道具数種と自身の身体や他者との関係づけ操作の発達的分析をおこなうことを目的とした。
(方法)チンパンジ-3幼児(アユム、クレオ、パル)を被験者として、それぞれの母親(アイ、クロエ、パン)との同伴場面での、砂の対象操作についての実験・観察を行った。実験は、実験者同室と非同室の2条件を設定して行われた。各母子・各条件につき30分1セッションずつの実験・観察を、幼児の1~7歳齢段階にわたって行った。実験・観察は基本的に3ヶ月毎に行われた。
(結果および考察)幼児の砂の対象操作行動は、1歳齢では身体を直接用いた操作が主であったが、2歳齢以降は徐々にではあるが道具との関係づけによる砂の対象操作が現れはじめた。この年齢段階での道具との関係づけは、砂を道具に入れるとか、道具で砂をすくうといった操作が主であった。3~4歳齢段階では、道具との関係づけ操作がもう一段階進み、砂を道具ですくい別の道具に入れるといった、道具から道具への移動を伴う操作がみられはじめ、砂の対象操作に階層性が現れた。また4歳齢では、砂を実験者に投げかけるという、自分=砂=他者という砂を介して他者との関係性を構築する三項関係的操作もみられた。またアユムは、コップにいれた砂を飲み物に見立てて飲むふりをしたと評価できる操作もみられ、この年齢段階で象徴的操作の出現する可能性が示唆された。5~7歳齢段階では、4歳齢段階以降にみられた各操作が安定的にみられるようになった。チンパンジ-幼児でみられたこれらの発達的傾向は、ヒト幼児で行った類似の実験でみられた傾向と重なるものがあり、対象操作行動の初期的発達においては、チンパンジ-とヒトとの系統発生的な違いよりも類似性のほうが示唆される結果となった。
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© 2007 日本霊長類学会
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